改正健康増進法の施行(2020年4月1日)

タバコはなぜやめられない?禁煙は精神論だけでは不可能

自分自身、または、家族や知人が喫煙者で、タバコをやめようとしてもなかなかやめられない人は多いと思います。

タバコはなぜやめられないのでしょうか?


ニコチン依存症


タバコを吸う習慣がつくと、体内にニコチンが繰り返し吸収されます。ニコチンは常習性のある薬物ですから、ニコチンが切れると体がタバコを欲するようになります。

ニコチンが切れると、落ち着きがなくなってイライラしたり、無気力になったり、ひどくなると手足が震えたりすることもあります。いわゆる禁断症状ですね。

禁断症状が起こっても一時的な場合がほとんどですが、人によっては日常生活を送るのが困難になるほど強く症状が出ることもあるので、意思の強さだけで克服するのは不可能です。

タバコはストレス解消になると、喫煙者はよく言います。それはもちろん間違ってはいないのですが、ニコチン切れのストレスをタバコを吸って解消することで、スッキリ感を味わっている側面もあるのです。

特にストレスがない状況でも、タバコが吸えないというだけで喫煙者にはストレスになります。つまり、自分でストレスの種を体内に取り入れて、それを解消するという行為を繰り返しているとも言えます。

この行為の繰り返しに浸かってしまうと、容易には抜け出せなくなります。禁煙がうまくいかないことを「意思が弱い」と責めたところで解決にはなりませんし、喫煙者自身も意固地になってしまうのでよいことではありません。

効果的な禁煙方法を根気よく続ける以外にありません。

禁煙外来を利用するメリット


タバコの善悪


昨今のタバコ規制の流れを、強権的で高圧的なものと見ている喫煙者も多いことでしょう。嫌煙家の一部に、タバコを目の敵にしてヒステリックに騒ぐ人もいることは確かです。

感情論として、自分の嗜好が攻撃されれば条件反射的に反発するものです。

・タバコは有害だからやめろ!
・受動喫煙させるのは一種の公害だ!
・喫煙者は採用しない!

のように「タバコ=悪」としてギャンギャン言われれば、反論のひとつも言いたくなりますし、素直に聞く気になれません。たとえ非の打ち所のない正論だとしても、言われたことに納得できなかったり、表面だけ納得したフリをして、結局やめることはないでしょう。

当サイトは、喫煙者の感情を理解した上で、禁煙するなら最適な方法を提示し、喫煙を続けるなら、時代や世の中の要請に沿うように「制煙=喫煙をコントロール」する方法をお伝えする、というスタンスです。

タバコを吸うことそのものは悪ではありません。しかし、タバコ自体に少なくない害があるのは認めなければなりませんし、タバコを嫌がる人に対する配慮も必要です。喫煙者がそのことをきちんと理解するのは大切です。

禁煙推進派の人たちも、何がなんでも喫煙者を攻撃するのではなく、喫煙をすぐにはやめられないことを理解し、喫煙者を追い詰めるような施策を強引に推し進めるべきではないと考えます。


タバコの害について


タバコの害については多くの情報がありますので、ここでは詳しく述べませんが、タバコの害をどう考えるか、をお伝えしたいと思います。

喫煙者自身の健康リスク
例えば、喫煙者の肺がんリスクは非喫煙者と比べて4倍から8倍程度あると言われていますが、「肺がんにかかる割合自体がそこまで高くないはずだから大したことではない」と考えがちです。それはその通りで、タバコが原因で肺がんになる確率が3人に1人とか、そういう致命的なものではありません。

しかし、肺がん患者の70%程度は、喫煙が主な原因と考えられると言われていますので、喫煙しなければ肺がんになりにくくなるのは事実です。

また、喫煙によって血管が収縮するなどの身体的弊害があるのも確かですので、健康被害が起きやすくなるのは間違いではありません。持病があれば、喫煙によってそれがより悪化する可能性は高くなります。

単純にリスク回避という観点から言えば、喫煙するよりはしない方が身体的には健康でいられるでしょう。

喫煙が原因とみられる病気になるかどうかは、はっきり言って個人差がありますし、極論すれば確率の問題でもあるので、「病気になるかも」という不確定な話では禁煙する理由にはなりにくいでしょうね。

正直なところ自分の体のことなので、健康をとるか喫煙をとるかは、個人が決めることだと思います。喫煙をやめたからと言って健康が保証されるわけでもないのですから。


他者の健康リスク
ところで、他者に対してはどうでしょうか。気管支が弱い人や、小さな子どもにとっては副流煙が致命的な健康被害を与えることはありえます。

タバコの煙が苦手な人や、衣服がタバコ臭くなることを嫌う人も多いです。健康的な成人なら副流煙を少し吸ったぐらいでは健康被害が出ることはほぼないでしょうけれども、だからといって嫌がる人に対して嫌がることをすべきでないのは自明の理です。


喫煙者が喫煙マナーを守り、非喫煙者に配慮することが大切ですし、非喫煙者側も喫煙者をただやみくもに攻撃するのではなく、喫煙者の気持ちを理解し、彼らが安心して喫煙する場を残したり、禁煙を勧めるにしても根気よく説得していくことが大事だと思います。


当サイトの願い


禁煙をしようと決意した人は応援します。
喫煙を続けたい人は、自分の健康に気をつけながら喫煙を続けていただいてよいと思います。ただ、これから先、自由にタバコを吸えなくなるシーンが間違いなく増えるので、喫煙コントロールができる方法を身につけなければならないと考えています。

喫煙者と非喫煙者が感情的に対立しあうのはやめてほしい、というのが当サイトの願いです。

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