改正健康増進法の施行(2020年4月1日)

禁煙中のうつ症状への対処法


禁煙を始めると、ニコチンの禁断症状が原因で「うつ」になってしまうことがあります。思考がネガティブになったり、特に理由もなく不安感に襲われたり、やる気がなくなったりします。

禁煙によるうつは、ほぼ一過性のものですので必要以上に怖がることはありませんが、やはり事前に正しい知識を持って心の準備をしておくことは大切です。


禁煙でうつ症状になる前に


禁煙を始める前に、周囲の人に「禁煙を始めたら『ネガティブ思考』になるかもしれない」と、それとなく伝えておきましょう。 はっきり「うつになるかも」と言ってもよいですが、人間関係の親密度で言い方は工夫しましょう。そんなに仲良くない人に「うつになるかも」と言われても困りますよね。 身内にはうつがひどいときに引きずってでも病院に連れていってもらいたいなら、詳しく話しておいたほうがよいかもしれません。


禁煙でうつ症状になったら


自分で「今、うつ状態になっている」と冷静に判断できるならよいのですが、訳もわからず不安になったり、ちょっとしたことでひどく落ち込んだりしたときに、自分の心理状態を客観的に把握することは難しいです。

うつ症状を自覚できているときは、自分で気を紛らわすことをしましょう。深呼吸や飲食、軽い運動やゲームなどです。 うつを自覚できていないときに、周りの励ましや気遣いを受けるためにも、禁煙前にあらかじめ伝えておくことは大切なのです。

時間の経過とともに「うつ症状」は和らいでいきます。人によって程度の差はありますが、頑張って乗り越えましょう。


禁煙中のうつ症状の対処法


大抵の場合は、うつ症状が出たとしても軽いものですから、一時的な対処法で済みます。

・水を飲む
・散歩をする
・運動をする
・音楽を聴く
・飲食をする
・深呼吸をする
・ゲームをする
・睡眠をとる

以上のような対処を行って、気分転換をはかることが有効です。
周りの人にも励ましてもらったり、遊びに連れていってもらうなどして、不安定な心の状態から救ってもらいましょう。


「本当の」うつになったら速やかな治療を


あまりにもやる気が出ない、生きていくのが辛いと感じるほど気分が滅入ってしまっている状態が続くなら、もしかすると禁煙中の「一時的なうつ症状」ではなく、「本当のうつ」になってしまっているかもしれません。

専門医の判断が必要なので、禁煙外来を利用している場合は担当医師に、自力禁煙の場合でも精神科医などに相談して、速やかに治療を受けてください。万一、うつの症状が固定化してしまうと大変です。

必要であれば精神科医のカウンセリングを受け、うつ病の薬を処方してもらうことになります。


禁煙に効果があるといわれるうつ病の薬


うつを抱える人に対して、「心が弱いからだ!」と心ない批判をする人がいますが、とんでもないことです。

心の病は自分の力でどうしようもないことが多く、精神科医の診察と処置、抗うつ薬の投与、周囲の理解と協力がなければ、改善に向かうことはありません。
抗うつ薬は専門医の指導のもと、慎重かつ適切に服用すれば、うつ病の人にとっては大きな助けとなるものです。しかし、オーバードーズ(薬物過剰摂取)にならないよう自己判断での服用量の調節はやめましょう。

うつ病の薬の中でも、ブプロピオンとノルトリプチリンは長期禁煙を助けるという研究結果があるようです。どちらも重篤な副作用がほとんどなかったことが判明しているので、禁煙治療への応用も期待できますね。

参考記事
ケアネット:禁煙補助薬として抗うつ薬は有用なのか


ブプロピオン含有の禁煙に有効な抗うつ薬
ブプロンSR(BupronSR)150mg
ザイバン(Zyban) 150mg
ブプロピオン150mg(Buproban)

ノルトリプチリン含有の抗うつ薬
ノリトレン錠10mg/ノリトレン錠25mg

参考:アミトリプチリン含有の抗うつ薬
ジェネリックトリプタノール10mg(Arrow)
ジェネリックトリプタノール25mg(Arrow)


禁煙中のうつ症状への対処法のまとめ


今回の記事は、少し怖がらせるような内容になってしまいましたが、ほとんどの人は重いうつ病になることはまずないので、それほど心配しなくても大丈夫です。うつ病になるのではないかと心配し過ぎると、かえって不安定な精神状態を招きかねません。

この記事を読んで、「自分は多分うつ病にはならないだろうけど、もしなったとしても対処法があるから大丈夫だ」と、安心して禁煙に取り組んでほしいと思います。

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